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エルゾンビ落武者のえじき
La Noche del terror ciego

aka: The Blind Dead (1973:米題)
  Crypt of the Blind Dead
  Night of the Blind Dead
  La Noche de la muerta ciega
   A
Noite do Terror Cego (1973:ポルトガル題?)
  Tombs of the Blind Dead
 The Night of the Blind Terror

1971年/スペイン映画/日本劇場未公開/カラー・97分/
日本版84分(93分としている資料もあるが、実測も84分)/
ヴィスタ・サイズ/(日本版はTVサイズにトリミング)

プラダ・フィルム(マドリッド)=インテル・フィルム(リスボン)

製作総指揮:サルヴァトーレ・ロメロ
製作:ホセ・アントニオ・ペレーズ・ジンナー
プロダクション・マネージャー:マニュエル・アミーゴ/
ヴィクター・ダコスタ
監督・脚本:
アマンド・デ・オッソーリオ
撮影:パブロ・リポル
編集:ホセ・アントニオ・ロッジョ
プロダクション・デザイン:ジャイメ・ドゥアルテ・デ・ブリート
セット・デザイン:ジュアン・ガルシア
セット・デザイナー:ジャイメ・ダンテ・デ・ブリート
衣装デザイン:ハンバート・コルネージョ
特殊効果:ジュリオ・ゴメス・ソリーア
特殊効果(助手?):ホセ・ゴメズ・ソリーア
特殊メイク:ホセ・フイス・カンポス
メイキャップ助手:カルメン・テルアン
音楽:アントン・ガルシア・アブリール
助監督:パウリーノ・ゴンザレス
美術(アシスタント・デザイナー?):ラファエル・アブランクェ
音響効果:ルイス・カストロ
音楽編集:L・フェルナンデズ・ソリーア
音響録音:ホセ・マリア・サン・マテオ

製作助手:ローマン・エスクリバーノ/
ホセ・サンチェス/ジュリオ・ウィズエーテ
製作秘書:アンヘラ・エスクリバーノ
カメラ操作/第2班撮影:フェリックス・マイロン
カメラ助手:ルイス・ムーニョズ・アルコレア
編集助手:コンセプション・ピーニョ
英語翻訳:ディック・ランダール

出演
ローン・フレミング(ベティ)/チェザーレ・ブルナー(ロジャー)/
マリア・シルヴァ(マリア)/ヘレン・ハルプ/
マリア・エレナ[・アルポン?](ヴァージニア)/
ジョゼ(フ)・テルマン(ペドロ)/ルッフィーノ・イングレス(オリヴィエロ警部)
ヴェロニカ・リリメーラ(ニーナ)/カルメン・チアー/
サイモン・アリアーガ[・ガリパルディ](解剖室の守衛)/
フランチェスコ・サンズ(チャンテル教授)/
ジュアン・コルテース(検死官)/アントニオ・オレンゴ(列車の機械工)/
アンドレス・イスベルト/ジョゼ・カモイラス/ブリット・ニコルズ(生贄の処女)


<物語>

陽光の降り注ぐ瀟洒なリゾート・ホテルのプールサイド。
マネキンの製造業をしているエリザベス・ターナー(ベティ)は偶然、
学生時代を寄宿舎で過ごした級友、ヴァージニア・ホワイトと出会う。
2人は久しぶりの再会を喜び合うが、ヴァージニアには
建築家をしている連れの男性ロジャー・ウェルマンがいた。

郊外へキャンプに出かけようとさそわれたベティは
翌朝、2人と駅で待ち合わせをして列車に乗る。
ベティとヴァージニアには青春時代を愛し合って過ごした
ほろ苦い過去があった。ベティは女性しか愛せない
レズビアンだったのだ。ヴァージニアは彼女に誘われるまま
寄宿舎でレズ行為に及んでいた。
しかし社交的なベティは、ヴァージニアのBFである
ロジャーとも気さくに会話を交わしたりして、つい
ヴァージニアに対してデリカシーのない態度を取ってしまう。

プライドを傷つけられ、居心地の悪さを感じたヴァージニアはひとり、
走る列車から飛び降りてしまう。清々しく晴れ渡った荒れ野を
しばらく歩いて行くと、彼女の前に朽ち果てた中世の修道院が姿を現した。

寒さをしのぐ為の一夜の宿には丁度良いと、気楽に足を踏み入れたヴァージニアには、
そこが近隣の村人から恐れられている悪霊の住処だとは分かるはずもなかった。
真夜中が過ぎ、中庭に作られた墓地から、
腐り果てて骸骨となった肉体をボロボロの布に包んだ、
見るもおぞましい<
ブラインド・デッド>の群たちが起きあがってきた。
必死で逃げるヴァージニアだったが、とうとう死霊達に追いつめられてしまった。
荒れ野に無情にも彼女の断末魔の絶叫がこだまする・・・。



翌朝、ホテルにも帰っていないヴァージニアを心配したベティとロジャーは
ホテルで馬を借り、彼女が列車から飛び降りて向かったであろう、
ベルサノと呼ばれる廃村に向かう。

同じ頃、荒れ野を横断する汽車の運転手親子が、
変わり果てたヴァージニアの姿を発見、警察に連絡する。


ニュープリント版ではフィルムのジャンプによるカットが
見られる?ヴァージニアの殺人シーン

ベティ達は問題の修道院を発見、内部に足を踏み入れるが、
何かに怯えた馬は逃げてしまう。不穏な空気を感じながら、
廃墟を探索する2人は、ヴァージニアの荷物を発見し、
ゆうべ彼女は確かにこの修道院に来たことを突きとめる。
2人は更に中庭でテンプル騎士団の墓地を発見、
言いようのない気味悪さを肌で感じとる。

現場を調査していたオリヴィエロ警部からヴァージニアが
死体で発見されたことを聞かされた2人は、
町中にあるモルグへ向かい、そこで無惨な変死体となった
ヴァージニアと対面する。検死官の話では、死体には
無数の歯形が残されており、犯人は野獣や動物ではないと言う。

事件の鍵は修道院にあるとふんだベティは、自分の工場で働く若い娘
ニーナに事情を聞く。ニーナはベルサノ近くの村の出身であり、嫌がりながらも
ベルサノは呪われた村で、中世に虐殺された騎士団の怨霊が
夜な夜な彷徨う伝説があるのだと告白する。
更に村の近くでは、今なお謎の失踪事件が相次いで起きていることも・・・。

テンプル騎士団が事件と関係しているかもしれないと考えたベティとロジャーは、
図書館で事情に詳しい変わり者の教授と会い、騎士団の過去を聞き出す。
教授によると、12世紀の十字軍遠征で結成された騎士団は悪魔や黒魔術を崇拝し、
行く先々の村々で虐殺や生贄の儀式を繰り返して恐れられていたが、
スペイン軍に制圧された際に皆殺しにされ、絞首刑になった死体の目玉は
全てカラスに食われてしまったのだという。しかし東洋の魔術にも精通していた
彼らが現代に甦って来ても全く不思議はないと教授は断言した。
余りの内容に教授の話を信じられないままでいるベティ達の前に、
突然、警察が踏み込んできた。警察は、教授の不肖の一人息子
ペドロ・チャンテルがベルサノ近くの漁村で密輸団のボスをしており、教授も含めて、
今回の事件は密輸団絡みの口封じ殺人ではないかと疑っているのだった。

だが、悪霊の恐怖は思わぬところで始まっていた。モルグに安置された
ヴァージニアの死体が甦り、管理人のノド頸を噛みきって惨殺したのだ。
更にヴァージニアはベティのマネキン工場に向かい、一人で残業をしていた
ニーナに襲いかかる。恐怖に震えながら、必死で抵抗するニーナ。
彼女が押し倒したテーブルのランプから燃え移った炎は、
マネキン人形からヴァージニアに飛び火し、業火に捲かれたヴァージニアは
悲痛な叫びを上げて真っ黒に焼け落ちていった。

真相を探ろうと、単身ロジャーはペドロと会い、事件の顛末を説明する。
ペドロも自分の身の潔白を晴らせるならと、ロジャー達と一緒に
修道院に一晩張り込むことを快諾する。

ロジャーとベティ、ペドロとその蓮っ葉な情婦の4人は真夜中近くの修道院に集り、
二手に分かれて周囲を捜索することにする。しかし女癖の悪いペドロは
ベティを暴行して犯してしまう。すると突如、修道院に鐘の音が鳴り響き、
ペドロの足下の墓地から<
ブラインド・デッド>達が這いだしてきた。

恐怖に立ちすくんだペドロはゾンビの大群に襲われ、貪り食われてしまう。
ロジャーはゾンビに発砲するが、全く効き目がなく、逆に追いつめられてしまう。

院内の小部屋では傷ついたベティと情婦が激しいつかみ合いの口論を繰り広げていた。
戸口まで逃げてきたロジャーだったが、なかなか扉が開かず、
ゾンビの手にした長剣で手首を切り落とされてしまう。

ようやく戸外の異変に気づいたベティは扉を開けるが、そこには血みどろのロジャーと
ブラインド・デッド>の群が・・・。思わず絶叫した情婦は、悲鳴を聞いて
集まってきたゾンビ達に食い殺される。恐怖に怯えるベティに、虫の息のロジャーは
「声を出さなければ、目のないゾンビ達には存在が分からない」と言い残し絶命。

ベティは息を潜めて廃墟を逃げ回るが、彼女の心臓音を聞きつけたゾンビ達は、
再び後を追ってきた。荒れ野を息絶え絶えになりながら
走り切ったベティは、朝の薄闇を走ってくる汽車の姿を発見、大声で助けを求める。

ベティの姿に気づいた運転手親子は汽車を止めて彼女を助けるが、
馬で後を追ってきたゾンビ達は運転手親子もろとも、
子供を含む乗客全員を虐殺してしまった。
燃料車の上に横たわりながら、ゆっくりと汽車が動き出すのを感じてベティは気絶した。

早朝、町中の駅に汽車が到着し、駅員が燃料車にボロボロになって横たわる
ベティの姿を発見、手を貸して汽車から降りさせる。何事もなかったように、
貨車に乗り込んでいく乗客達・・・あれは全て夢だったのか??
その時、ベティの背後で鋭い悲鳴がとどろいた。思わず振り返ったベティの目に、
おぞましい<
ブラインド・デッド>達の姿が!!!




<解説>

スペインとポルトガルの合作という形で製作された、合計で全4本となる
この<
ブラインド・デッド>シリーズの中で、一番出来が良かったのは
間違いなく「
エルゾンビ」である。ゾクゾクするような、
気味の悪い雰囲気タップリのこの映画は、他の数多あるゾンビ映画とは
一線を画す雰囲気を持った作品だが、それはスペイン独特の
不思議なロケーションによる効果でもあるだろう。

ポルトガルのリスボン、パルメーラ、セシンブラ、セトゥーバル、
それとマドリッド郊外にあったチェルコン修道院(ここは観光名所だったそうだが、
数年前に変わり者の金持ちに買い取られ、立ち入り禁止になたっという)で
撮影されたこの映画は、リゾート地特有の浮かれたムードと、荒涼とした
廃墟や荒れ野の光景が一種のわびさびを醸し出すのに一役買っている。

また、全編を支配する非常に奇妙な設定もオリジナリティに溢れている。
もちろん、体が腐り果て、眼球を失ってしまった為に
犠牲者の心音を追って襲いかかる<
ブラインド・デッド>の
キャラクターも非常に奇抜だが、ヒロインと女友達が
レズビアンの関係にあったり(本筋とは一切関係のない
回想ベッド・シーンも登場!)、ようやく助かったと思いきや
子供を含む列車の乗客が全員、襲われて惨殺されてしまう
ショッキングなクライマックスが用意してあったりと、
オッソーリオの悪意がそこかしこに感じられるのが面白い。

またゾンビが修道院を襲撃してくる直前に、レズビアンのヒロイン、
ベティが粗暴なペドロに押し倒されて、レイプされてしまったり、
その間にロジャーが、ペドロの情婦マリアと濃厚なキスを交わしたりする
シークエンスも何だかちょっと、凄い。確かに仲間割れのせいで、
ゾンビが襲撃してくる場面が盛り上がるとは言え、ちょっと普通ではない
こうした設定には観客達も驚かされるだろう。(それだけ脚本には
穴があるということだが、見ている間はさほど気にならない。)


基本的に、全体の演出はなかなか凝っており、前述のレズ・シーンでは
汽車の周りを漂う蒸気を<つなぎ>に使って、現実世界から
回想シーンへと転調させ、その回想シーンもセリフを完全に排した
サイレント映画調(音楽もそれっぽい)で描いたりと、
安いホラー映画らしからぬ工夫が見られる。

また後半に登場するモルグの描写(これまた意味なく
天井から吊り下げられた照明が揺れていたりする)や、
マネキン工場内の追いかけっこ劇にも細かい工夫が散見される。

いかにも怪しげなモルグの管理人のキャラクターや、
ヴァージニアの死体と見せかけて、血だらけの老婆が登場してきたりするシーン、
ずらりと並んだマネキンが赤いネオンに照らされている
(まさにマリオ・バーヴァ調!)工場の狭い廊下、
マネキンに人工の目を差し入れる気味悪いショット、
グニャリと焼け落ちていくマネキンの顔(「生血を吸う女」風)などなど、
次から次へと、観客の神経を逆なでするイメージが登場してくる。
さすが
オッソーリオ!過去のホラーからのパクリも巧みだ(誉めすぎ)。

セットに関して言えば、物語の大半で舞台となる廃墟の修道院が
独特の雰囲気を持っていて素晴らしい。
<本物>のディテールを持ったロケーションと
画面の大部分を暗闇に沈めた画面で構成される
蜘蛛の巣だらけのセットのバランスもイイ感じ。
さり気なく画面に吹いてくる冷たい風や、
夜を漂う霧(これはいかにも人工的だが)も
ホラー映画っぽい効果を上げていてグッドだ。

撮影のパブロ・リボルや、音楽のアントン・ガルシア・アブリールを含め、
スタッフ・キャスト共に、日本では殆ど馴染みのない名前だが、
オッソーリオの映画には何度か関わっている人材のようで、
それぞれが作品を盛り上げる仕事ぶりをしているのが非常に頼もしい。
特に映画の後半、ゾンビに襲われた主人公達が次々と殺されていくシーンでは、
このシリーズの中でも出色の残虐場面が展開。
ホセ・ルイス・カンポスが担当した、手首が切り落とされ、
ノドが切り裂かれて血が吹き上がるSFXゴア・ショットが用意されている。

レズのタチ役なので?やたらとゴツいヒロイン(なかでも健康美溢れる
凄い水着のシーンは衝撃・・・)に扮したローン・フレミングは、本作に続く
「パート2」にも登場、強い母性愛から命を落とす若い母親に扮していた。
彼女とキャット・ファイトを見せる、タチの悪そうな情婦を演じた
マリア・シルヴァも長いキャリアを持つスペイン女優。

他のキャストは余り知られていない俳優たちが多いが、
生贄の処女となるブリット・ニコルズ(本編クレジットはなし)は
本作の直後から数年間、「肉欲魔女」や「バージンゾンビ」などの
ジェス・フランコ監督作で主役級の役柄を演じていた
ポルトガル出身の美人女優である。74年にアルゼンチンの
プロサッカー選手と結婚(その後、離婚)。映画界を引退した。


エルゾンビ」は日本での知名度はいまひとつだが、
スパニッシュ・ホラーのジャンルを代表する傑作なのである。




<ビデオに関して>

ポルトガルでは73年の4月23日に封切られたこの映画を
初めてビデオ化したのは、低予算映画専門のレーベルとして知られる
パラゴン・ビデオ。このバージョンでは、冒頭で悲鳴を上げる
ブロンド女性(ヒロイン)の顔に続いて、列車から骨だけの手が飛び出してくる
ショットが登場、いきなりラストを冒頭のフラッシュ・バックで見せてしまう
荒技?を使っている(日本のFUNAI 版も同様)。

カナダで初めてリリースされた「エルゾンビ」のビデオは、アメリカのパラゴン社が
リリースしたこのプリント(のみならずビデオのスリーヴも同様)を、
単にそのまま流用しただけのマスターだったらしい。

故に、これらのプリントからはクライマックスの汽車で
展開する大虐殺(アンカーベイ版で修復)がカットされているのだとか。


日本のFUNAI 版は84分のランニング・タイムのマスターで、
クライマックスの列車内大虐殺こそ残されているものの、
中世の生贄虐殺シーン(スリーヴにはその写真が載っているのに!↑)が
完全に抜けてしまっている。

本作のLD(Elite) とビデオ、
DVD(アンカーベイ)版について
 

少し前の話になるが、アメリカでは「エルゾンビ」の
完全版/ディレクターズカットが、LDはエリート・
エンターテインメントから、ビデオはアンカー・ベイから
それぞれリリースされた(更に更に何とDVDは続編の
目を失った怪物の攻撃(未)」をカップリングで収録!)。

アンカーベイから発売された新しいビデオ
(あるいはエリート版LD)は、ファンならば絶対に
手に入れなくてはならないマスト・アイテム。
どちらもオリジナルのスペイン語版で、簡単な英語字幕入り。
デジタル・リマスターリング処理を施したプリントは、
オリジナルの1.85:1(ヴィスタ)の画面比率で収録され、
英語版からはカットされたシーンや、台詞を復元した
102分のランニング・タイムがある完全ノーカット版である。

主に追加収録されたのは、冒頭のリゾートの絵葉書風ショットと、
廃墟の中をヴァージニアがうろつく場面、ラストの列車大虐殺シーン。
日本I版よりも、それらの場面は明らかに若干長くなっており、
特に列車虐殺シーンでは止め絵の全景が使われたりして、
ちょっとドキュメンタリックな惨劇シーンが演出されている。
また日本版ではジャケットのみに記載されていた
中世の<生贄>シーンは、エリート版では中盤の図書館で、

教授が騎士団について解説するシーンに入っている。
この場面は特に血なまぐさいシーンとして
相当インパクトのある撮られ方で印象に残る。

<Great Thanks to Django about This Infomation>


ここで、ウェブを通じてお知り合いになった
ブラインドデッド研究家、やまもとさんによる検証を。
(詳細なチェックと、ウィットに富んだ表現!
文字が細かくてスミマセンが、ファン必読です!)

Blind Deadシリーズ DVD−BOX(ドイツ盤) レポート
DVD SAMMELBOX "Reitende Lichen" BEST ENTERTAINMENT社
1.入手顛末編

アマンド・デ・オッソリオ監督によるBlind Deadシリーズ全4作の
DVDセットを入手しました。しかもドイツ盤で(謎。
この映画、国内版ビデオ・リリース時には
ぜんぜん興味をひかなかったのですが、
カニバル・ホロ子さんの「ゾンビ手帖」での紹介を見て
むくむくと興味がわいてきて(よせばいいのに)北米盤Anchor Bay社の
「Tombs of the Blind Dead」「Return of the Blind Dead」の
カップリング盤を衝動買い的に購入してしまいました。

さして期待もしないで見たんですが、
ところが、ツボに入っちゃったんですわ、これが。
むちゃくちゃ面白いというわけではない、けっして。
いや、むしろつまらない、とはっきり言っちゃってもいい
(言ってどうする)のですが、
雰囲気というか、荒涼とした寂寥感というか、たまんないんですね。

とりあえず(急がないから)続きが見たい。
しかし北米盤DVDでも後半2本はリリースされていない。
いまどき海外の中古ビデオでもないだろう、状態悪そうだし。

んなわけで、どっかでDVD化されていないものか、などと
身勝手かつ悠長なことを言いながらeBeyをチェックしていたところ、
ドイツ盤DVDを出品しているヤシをハケーーン!
残念ながらアメリカ国内しか取引してくれないとのこと。
でもジャケ写真が出ていたのでドイツ語題はわかりました。

ドイツ語題がわかればなんとかなる、と
今度はAMAZON.deにレッツ・ゴー!
ありました。でも若干お高め。

ところがうまくしたもので、AMAZON.deでは
本家アメリカAMAZON.com同様マーケット・プレイスが
設けられているんですね。
そちらでは半額程度の価格で販売されてましたので、
海外でも出荷しているかどうか、お店を(安いほうから)順番にチェック!
3軒めで無事注文ができました。

以上が昨年の11月初めのこと。
11月6日には「やあ、商品は送ったよ♪」みたいな
調子のいいメールもやってきました。

それから・・・・・

待ちました。AMAZON.deが時間かかるのは知っていましたから。
でも、最近はそんなにかからなくなったとも聞いていましたので・・・・

そして、年も押し詰まった12月29日、
やまもとの仕事納めを待っていたかのように
「Blind Dead」ことテンプル騎士団が我が家に襲来したのです。

待つこと約2ヶ月。神戸の税関で開封検査していますし、
きっと船便でやってきたんですね。
ドラキュラやノスフェラトゥの例をみても
魔物は船で洋上をゆるゆるとやってくるのがふさわしいとは言えましょう。
 
2.現物評価編
収録内容は以下のとおり(制作順)

1. Die Nacht der Reitenden Leichen
「エルゾンビ/落武者のえじき」Tombs of the Blind Dead

2. Die Ruckkehr der Reitenden Leichen
Return of the Blind Dead

3. Das Geisterschiff der schwimmenden Leichen
The Ghost Galleon

4. Das Blutgericht der Reitenden Leichen
「テラー・ビーチ/髑髏軍団美女虐殺」Night of the Death Cult

ボックスのパッケージに記載された順序は
なぜか制作順と異なっており4→3→1→2の順になっています。
ドイツでの公開順なのか、詳細は不明。
IMDBにはなぜか、このドイツ語題は記載されていません。
ボックスのパッケージ自体は薄手のボール紙製、
日本製アニメにみられるような豪華なつくりとは
対極にあるチープなものです。

北米盤TVシリーズのボックスパッケージや
日本盤20世紀FOXの2枚組BOXのような、といえば
ご理解いただけるでしょうか。
ボックス、各ケースのカバーともにドイツオリジナルらしきイラスト、
公開時のビジュアルは使用されていません。

そのボックスの中にアマレー・タイプの
トールケースが4本収められています。
到着時に郵便荷物からカタカタと音がして、
ものすごくイヤな予感がしたのですが、
案の定4本全部ディスクが脱落していました。

当然ディスク表面にはスリキズ多数。
いちばん傷の多いヤバそうな盤を最初に再生してみたところ、
とりあえず問題なく再生できました。
とりあえず、ブックオフのディスク研磨機の
お世話にはならずに済みそうです。

メーカーやケースの問題もあるのでしょうが、
やはり発送から到着まで2ヶ月弱という搬送期間の長さと
その間の扱いの乱暴さが問題なのではないかと思います。

で、仕様ですがドイツ盤なのでリージョン2のPAL方式。
音声はドイツ語吹替のみ、オリジナルスペイン語音声も
吹替英語音声も入っていません。
字幕は入ってませんし、欧盤なので当然クローズド・キャプションもなし。
一応メニュー画面はあります。監督、主演のバイオグラフィとスチル集、
チャプター、あと全巻同じものですが予告編集がついています。
(Blind Deadのものではありません)

 

画質・音質
まず画質ですが、「エルゾンビ」と「Return 〜」は
ひとことで言って、悪い、です。
Anchor Bay盤と比較すると画質の違いは一目瞭然です。
残りの2本は制作年代の古さを考慮すればまあ及第点といったところ。

音質もよくはありませんがまあ許容範囲。
古い映画ですし、5.1ch化とかされていないことからも
過大な期待は禁物です。どうせドイツ語吹替えだし。
おそらくドイツで過去に発売されていたVHSソフトの
マスターを流用して、とりあえずDVDにぶち込んだものでは
ないかと思われます(マスター流用どころか、
販売ソフトをマスターにしてやしないかと
ビクビクものの画質なのですが・・・)。

どうりで、DVDの多機能がほとんど使われていないわけです。
DVD用にメニュー作成をやっているだけ
感謝しないといかんのでしょうか?

総括としては以上のとおり。ただしタイトルごとに画質差が
著しいこともあり個別の評価も行いたいと思います。

(個別評価については下の欄をご参照下さい)

その他

特典メニューにBEST ENTERTAINMENT社発売の
DVDの予告編が収録されています。

収録作品は・・・

・ハウリング
・ザ・フォッグ
・ソルジャー・ブルー
・デューン 砂の惑星
・エメラルド・フォレスト
・イルカの日

・・・の6本ですが、恐ろしく画質が悪い!
ハウリングなんて夜のシーンは
何が映っているのかさえわかりません。
このとおりの画質なら3倍速ダビング以下です。
商品として許せません。

 



作品毎の解説(Text & Photos:やまもとさん)

個別評価

画像をクリックして下さい

Die Nacht der Reitenden Leichen
「エルゾンビ/落武者のえじき」(1971)
Tombs of the Blind Dead
Die Ruckkehr der Reitenden Leichen
Return of the Blind Dead (1973)
Das Geisterschiff der schwimmenden Leichen
The Ghost Galleon (1975)
Das Blutgericht der Reitenden Leichen
「髑髏軍団美女虐殺」
Night of the Death Cult (1975)
   


●個別評価  

1.
Die Nacht der Reitenden Leichen
「エルゾンビ/落武者のえじき」(1971)
Tombs of the Blind Dead

パッケージ記載時間 96min
実収録時間     84min27sec (NTSC換算 87min58sec)
Anchor Bay版    101min30sec
国内版        84min
IMDB         86min

 
<おはなし>
昔のレズ友達ベティと、恋人のロジャーと旅をしていた
ヴァージニアは仲違いの末、一夜を過ごそうとした廃墟で
墓場から甦ったテンプル騎士団によって殺される。
彼女の跡を追ったロジャーたちは彼女の死を、
そして廃墟にまつわるテンプル騎士団の言い伝えを知る。
一方ヴァージニアの死体も甦り、
モルグの番人を殺害した後現れたマネキン工場で
火をかけられ再びの死を遂げる。
ロジャーとベティ、そしてヴァージニア殺害の容疑を
かけられた男ペドロとその情婦の4人が廃墟に向かうが、
その夜ペドロ、ロジャー、情婦と次々に騎士団の手にかかり、
最後に残ったベティはなんとか逃げのび列車に救出されるが、
その列車も騎士団に襲われる。
翌朝、恐怖のあまり白髪になったベティを乗せた
列車は駅に到着する。その中に騎士団を載せて・・・。
   
<比較検証:画質とつっこみ>  

画質の悪さから、最初期ソフト化のパラゴンビデオと
同一マスターかと思いましたが、英語タイトルでないこと、
Anchor Bay版を制作したときに追加したと聞くシークエンス
(廃墟を歩き回るあたりやラストの静止画引きなど)が
あることから、別マスターと思われます。
Anchor Bay版のマスターと同じ、スペイン語版のフィルムが
ベースになっているようですが、Anchor Bay版にある
英語字幕焼付けはありません。
画質的には数段劣り全体にぼやけた印象、
解像度の低さがはっきりと見て取れます。
(比較写真は全て、上がAnchor Bay版で下がドイツ版。
右のような場面では、赤が出ている分、
ドイツ版の方がきれいっぽく見えたりもする。)

画面の明度が絶対的に不足しており、
夜景になると暗部がほとんどつぶれて何が映っているのやら
さっぱりわかりません。ラスト近くのベティと
テンプル騎士団との追跡劇は真っ黒です。
(まあAnchor Bay版でも結構暗いんですが)
ダビングを重ねた、あるいは経年劣化した
VHSソフトレベルといったところでしょうか。
じつは海賊盤です、といわれたとしても
ぜんぜん驚きません。
ドイツ版の画像の悪さが際立つシーン(右)

<残酷シーンなど>  
流してみた程度なのでAnchor Bay版との相違の詳細には
触れませんが、残酷シーンが大幅にカットされている模様。

騎士団(生身)が生贄の両脇を馬で行き交い切りつけていく
殺害シーン、ペドロがベティをレイプするシーン、
ロジャーの腕が切断され血が滴り落ちるシーンなどの
カットがわかります。
さらに、ラスト近くテンプル騎士団が列車に進入し
乗客を惨殺するシーンがまるまる切られていました。
母親が殺され、抱かれた幼児に鮮血がぼたぼた滴り落ち
その後泣き叫ぶその子がまさに手にかけられんとする、
どこにも救いのないこのシーンは、
オッソリオの作家性を象徴するものです。
この手の規制が厳しいドイツでの版ですので
仕方がないとはいうものの残念ではあります。

切りつけられた母親の血が幼子の上に降り注ぐ・・・。
眼を蔽うこの映画の白眉。(右写真)

 


この映画の監督、
アマンド・デ・オッソーリオ
フィルモグラフィー頁を見る